2011年4月アーカイブ

過払い金の返還を金融業者に請求するとき、司法書士や弁護士に依頼してから、実際にお金が手元に戻るまで、どのくらいの期間がかかるでしょうか。

司法書士に過払い金の返還を依頼したとして、依頼を受けた司法書士は、まず最初に、受任通知を業者に発送します。この受任通知は、代理人に就任した事実の通知書と、取引開始から終了までのすべての取引の履歴の開示請求書を兼ねています。この通知を受けてからすべての取引の履歴を、FAXまたは郵便で送ってきます。早い業者であれば、翌日にFAXが送られてくることもありますが、遅い業者の場合、最大4ヶ月程度の期間がかかります。平均すると、1ヶ月程度かかることが多いです。

そして、その取引明細をもとに、利息制限法の上限金利を超えている返済については元金に充当計算し、過払い金が発生しているかどうか、発生しているのであればどのくらい発生しているかを調査します。この計算自体は、そんなに時間はかかりません。

そして、次に返還請求に取りかかります。請求の方法としては、請求書を送る方法と、いきなり訴状を裁判所に提出して裁判上の請求をする方法とがあります。請求書を送付する方法の場合は、送付後になんらかの返答が来るのを待つのですが、交渉の結果、金額面などで合意に至らないこともあります。その場合には、請求から交渉、決裂に至るまでに約1ヶ月程度かかることが多いでしょう。そして、その後に訴訟提起をするのであれば、通常、裁判の期日は訴状提出から約1ヶ月程度かかります。

ここまでで、約3~4ヶ月ほどかかります。そして、裁判の期日が2~3回目ぐらいになると、返還の合意ができることが多いです。合意から、実際の返還までは、3~6ヶ月程度である場合が多いですが、業者によっては、特に経営状態が悪い業者の場合には、1年近くかかることもあります。

そして、もっとも時間がかかるのが、裁判中に返還の合意に至らずに判決となり、判決後も支払いがなされず、判決に不服であるということで貸金業者が控訴してくるようなケースです。2~3回の裁判期日に2~3ヶ月の期間がかかり、弁論終結から判決言い渡しまでまた1ヶ月、そして控訴されて控訴審の第一回期日までまた1ヶ月・・・というように、どんどん期間が経過していきます。事業再生ADRを行っているような、経営状態のよくない会社が、返還を先延ばしにするために、よくこのような手段を取るのです。

しかし、金額面で納得がいかない場合には、時間がかかるのはやむをえません。時間がかかることにより、貸金業者が倒産したりするリスクもありますので、どこで合意するかは慎重に検討する必要があります。

債務整理とは

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債務整理という言葉はよく使われますが、なんとなく意味はわかっても、詳しくはよくわからないという方が多いと思います。

債務整理というのは、借金を整理する手続きです。借金を整理するというと意味がわかりにくいですが、法的に無効な金利での借金があればそれを引き直して計算し直したうえで、現在の総債務額をきちんと把握します。そのうえで、今度は可処分所得についても、家計収支表などを利用して把握します。負債と収入が把握できたら、毎月支払いが可能な金額がわかりますので、どのくらいの期間をかければすべての債務を完済できるかがわかります。そして、あまりにも長期間かけないと完済に至らないというときには、自己破産や民事再生などの方法を検討します。3年程度で完済に至るのであれば、債権者と交渉して、将来の利息をカットしてもらったうえで分割返済をするという約束をします(任意整理)。

このような方法が債務整理です。過払い金返還請求は、そもそもこの債務整理の手続きの中で発展してきました。

当初サラ金は、弁護士が介入通知を出しても無視して本人に対して強硬な取り立てを継続したり、ほとんどの借主が過去の取引の明細を保管していないことをいいことに、自社で保管している取引履歴の開示の請求があった場合でも、取引履歴を開示しなかったりして、債務整理を拒んでいました。また、履歴を開示したとしても、貸金業規制法43条のみなし弁済を主張し、利息制限法の上限を超過する金利を正当化することもよくありました。

しかし、徐々に判例が蓄積し、貸金業者には取引履歴の開示義務があり、開示しなければ不法行為による損害賠償請求を受けるということになり、みなし弁済は成立せず、利息制限法超過利息は無効で、元本に充当することで再計算が可能となり、過払い請求や債務整理の手続きができるようになってきたのです。

もともとは、多重債務の状態になり、強硬な取り立てにおびえる人々を何とか救うために発展してきたのが債務整理の手続きです。利息制限法の引き直し計算もそのための武器でした。現在、完済して借金のない方からの過払い金返還請求も多いようですが、このような事態は、裁判所も予想していなかったのではないかと思います。
過払い金返還請求を依頼する場合、司法書士に依頼するのと、弁護士に依頼するのとで、違いがあるのでしょうか。

一般的なイメージでは、弁護士の方がやや敷居が高く、司法書士は「街の法律家」とか「暮らしの法律家」などと名乗ったりしているので、やや親しみやすいということがあるかもしれません。

最近では、司法制度改革により、一気に弁護士の数が増えた影響もあり、若い弁護士さんも多いですから、従来の弁護士のイメージとは違う、若くてフレッシュな弁護士さんも増えてきているように思います。もちろん、親しみやすければいいというものではありませんが、選択肢が従来よりも増えてきていることは、良いことであると思います。

両者の違いが最もはっきりするのは、過払い金の請求額が、140万円を超える場合です。司法書士の簡易裁判所の訴訟代理権は、140万円までです。これを超えてしまう場合には、司法書士は代理権がありません。このような場合、司法書士は、書類作成代理という方法で対応します。司法書士法第3条4項には、司法書士の業務範囲として、「裁判所若しくは検察庁に提出する書類~を作成すること」というのを規定しており、司法書士は法律に基づき、裁判所に提出する過払い金返還請求の訴状を作成することができるのです。この場合、司法書士は代理人ではなく、書類を作成するのみですので、原告として裁判所に出頭するのは、本人であるということになります。弁護士にはこの140万円の制限はありませんので、金額にかかわらず、本人が裁判所に出廷する必要はありません。

しかし、過払い金返還の裁判は、他の裁判、たとえば交通事故の損害賠償請求の裁判のように、長い期間がかかったりすることは少ない裁判です。被告が一度も裁判所に出てくることなく終わることも少なくありません。また、司法書士も裁判所には同行し、事細かく流れの説明をしてくれることが多いため、あまり不安もなく手続きを進めることができます。

結局、弁護士でも司法書士でも、どちらに依頼してもあまり違いはないということになります。むしろ、相談したときのフィーリングで選ぶ方が間違いがないでしょう。しかし、高齢の方等、裁判所に行くことが困難な方の場合には、弁護士に相談する方が、労力が少なくて済みますので、お勧めです。

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